インプラントに起こる主なトラブルとその対処法
インプラント治療は科学的根拠に基づいた、予知性の高い大変有用な歯科治療方法の1つであることは世界的にも認められており、多くの患者さまがその恩恵にあずかっています。
生体の反応を利用した治療法で、人工的な構造物を有するのでその成功率は100%ではありません。
世界的にも、5年~8年後の成功率はほぼ95%前後と言われています。
そのために、色々なトラブルが発生する可能性もゼロではありません。
上部構造(インプラントの上のかぶせもの)のトラブル
- 上部構造の脱離・・・インプラントの上のかぶせものは、ネジによる固定式のもの以外は多くの場合、仮づけ用のセメントで固定します。このためまれにセメントがはがれ上部構造が取れてしまう事があります。このような場合は再度セメントにて装着すれば問題ありません。ご自身で差し込んでみてしっかり固定されるようであれば、はめたままにして、早めに来院して下さい。差し込んでも緩んででしまう場合には、危ないですからはずしたままでもかまいません。いずれにせよ、当日または数日以内の早めの来院をお勧めします。
- 上部構造の破折・・・上部構造のセラミックまたは樹脂の白い部分が強い力でかけてしまう事があります。上部構造に使用するセラミックや樹脂は通常、咬む力には十分耐えうる耐久性を持っていますが、種々の原因で一部がかけてしまったり、割れてしまったりすることもあります。この場合は、ごく小さい範囲であれば、かけてとがってしまった部分をお口の中でそのまま研磨するだけでも大丈夫です。やや範囲が大きい場合は専用の修理キットを用いてもとの通りに修理する事が出来ます。ただし広範囲の破折や、修理では強度不足が予想される場合には、はずして仮歯をお作りしてお預かりし、技工所での修理となります。 尚、破折の原因が就寝中の歯ぎしりや噛み締めと思われる場合には就寝中に歯を保護するためのマウスピースのご使用が必要になることもあります。また、セラミックは10年以上経過する間には徐々に劣化し、硬度がおちてゆくことがわかっていますので、ある程度の消耗品とお考え下さい。
インプラントのそのもののトラブル
- インプラント周囲粘膜炎・・・インプラントの周りの歯茎に炎症が起こってしまう事があります。無症状の場合もありますが、周囲の歯茎が腫れたり、インプラントの周りの歯茎から膿が出たりします。粘膜の炎症のみで、インプラント周囲の骨には変化がありません。インプラント事態には感覚がないので、ほとんど痛みはありませんが周囲の違和感として感じることもありますので、何か気になる場合はすぐに来院して下さい。早期の対処が大切ですので、ブラッシング時にはいつもインプラント周囲をチェックする習慣を付けていて下さい。多くの場合は、投薬とインプラント周囲の洗浄で1週間程度で治癒しますが、再発がないかしばらく注意が必要です。多くの場合インプラント周囲の清掃状態の不良が原因と考えられますので、必ず定期的なメインテナンスを受けて下さい。
- インプラント周囲炎・・・上記のインプラント周囲粘膜炎がさらに進行している疾患を言います。こうなると少し厄介です。粘膜の炎症だけでおさまらずに、インプラント周囲の骨の吸収をともないます。レントゲンで見ると丁度カップを半分にしたように半月状に骨の吸収像が見られます。この場合は、粘膜の洗浄だけでなく、骨の上に露出してしまったインプラントの表面もきれいにしなければならないので、歯茎を開いての処置が必要になります。歯ぐきが下がってしまう事になるので、審美性に問題が出ることもあります。 インプラント周囲炎は難治性(治りにくい)の疾患に位置づけされており完治率の低い厄介な疾患です。最悪の場合にはインプラントを除去しなければならない場合もあります。インプラント周囲炎は統計的にインプラント埋入後10年以上経過した症例での発症率が高くなっています。その発症率はスウェーデンでの統計では約10%前後とされています。そしてその発症のリスクは喫煙者、糖尿病、歯周病があるとさらに高くなります。
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